青森県の南西部に位置する、津軽地方の中心都市である弘前市。古くより弘前藩の城下町として繁栄してきた名残である弘前公園から南西に徒歩15分ほどのところに店を構えている。
白を基調とした外観で正面から見て左側が工房、右側が店舗となっている。また店先には車を三台分ほどの駐車スペースがある。
店内に足を踏み入れると今風でスタイリッシュに洗練されたデザインの店内と伝統工芸品である津軽塗が相まって、レトロモダンな光景が広がり、津軽塗の美しい色彩がより一層際立っていた。
弘前市に数ある工芸品、その代表ともいえる津軽塗。小林友三郎が七代目青海源兵衛の直弟子として師事を受け以後、その伝統を引き継ぎ創業百数十余年、六代続く津軽塗製造の老舗である小林漆器にお邪魔した。インタビューには小林漆器代表の小林考幸さんが応じてくれた。
現在、店内では職人歴45年小林考幸さんをはじめベテランの方々が製作する箸、お椀などの日用雑貨など幅広い津軽塗製品の販売はもちろん、カスタムオーダーやリフォームも受け付けているとのことだ。
伝統工芸品である津軽塗の魅力は様々な色の漆を幾重にも塗り重ねてなめらかに研ぎだすことで、美しく複雑な模様や色を無限大に表現することができることにあると小林さんは語っていた。
創業当時から変わらない津軽塗特有の技法を用いてお椀、重箱や座卓のように大小様々なもので津軽塗の持つ独特な重厚感や色味を表現しているとのことだ。
創業当時は漆の塗り重ね方を工夫した個性的なものが多く製作されていたが、現代では色使いが鮮やかなものが主流となったことで、より自由で独創的な表現が可能となった。
若者にとっては津軽塗のような伝統工芸品は上品で高価なものが多く、記念品や贈呈品というイメージが強いだろう。そうでなくとも工芸品のお店は老舗が多く入店し難いと感じた経験をした人も少なからずいるはずだ。しかし近年ではガラス製品、アクセサリー、シルバー製品、竹トンボ、けん玉、コマ、更には、デザイナーズ家具やオートバイなど、生活様式の変化に合わせて、新しい素材やアイテムに津軽塗を施している。特に津軽塗を施したスマートフォンケース、アクセサリーはその独特で鮮明な色使いと手作りの温かみがあることからか若い年齢層のお客さんの興味を引いている。そのため訪れるお客さんの多くが若者になりつつあるとのことだ。スマートフォンケースは完全受注であり唐塗、唐塗逆紋紗、マーブル、紋紗刷毛目、ひねり桜と様々な塗り方が可能となっているためオリジナリティ溢れる自分だけのケースをオーダーしてみてはいかがだろうか。
また同店にはワンポイントとして津軽塗をあしらったワイングラス〈唐塗 呂・赤〉や二重タンブラーなど日用品として手に取りやすい商品も並んでいる。
これを機に、皆さんが津軽塗に興味を持っていただけたのであれば幸いだ。
<津軽塗 小林漆器>
店舗案内
住所 弘前市東城北3-3-12
TEL 0172-34-5681
FAX 0172-34-4288
E-mail info@kobayashishikki.com
営業時間 9:00~17:00 (年中無休)
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