農業の高齢化が進むなか、農家のイメージを変えようと若手の女性農家として奮闘している人がいる。それが岩木山の麓でりんご農家をしている坂本司子さんである。
坂本さんの農園ではりんごを栽培しており、取材した時はりんごの実が大きくなり始め、袋をかぶせる種類のりんごでは一回り大きなものに付け替える作業をしている時期だった。ここの農園では効率化のため様々な機械を導入しているが、手作業で行う部分が確実に残っており、この作業もその一つである。「農業の魅力は自分で手をかけた分、りんごにかえってくること」坂本さんはそう教えてくれた。
そんな坂本さんは学生時代、実家が農家であることが嫌だったらしい。昔の農家というのは、頬が真っ赤に日焼けし、土ほこりの匂いをさせるという存在だった。そのため、服や化粧などのお洒落が好きな坂本さんにとっては「ダサい」と思えてしまったらしい。そして弘前大学を卒業した後は就職し、会社で事務として働いていた。
だが、その2年後、父親が病気で倒れたことをきっかけに農業を継ぐこととなった。当時の農家たちの中では女性がぐいぐい前に出ることはなかったらしく、それだけでも周囲を驚かせた。それ以上に驚かせたことは、お洒落にお金をかけるような坂本さんが農業を始めるということだった。「そんな農業の悪いイメージを変えたいと思う」そう言う坂本さんは、常につけまつげをしておしゃれを忘れない人であった。
坂本さんは現在、農ガールが前に出れるような状況をつくろうと活動をしている。「今までは家事などで外に出る機会がなかった。農ガールでたくさん会合をして、農家の娘やお嫁さんがどんどん表に出れるような機会をつくりたい」今後、農ガールでの会合の数を増やしていく予定のようだ。
坂本さんの将来の夢は、農家のイメージを変え、自分の子供たちが友達たちに堂々と「お母さんはりんごを作る仕事をしているんだよ!」と農家であることを自慢できる社会にすることだそうだ。「大きな夢ではあるけ『農家』が“子供のなりたい職業ランキングベスト3”になるといいなと思ってる。そのために頑張りたい」坂本さんは夢を叶えるため、今までの農業の「ダサい」イメージを払拭し、農ガールの輪を広げる活動をしている。
最後に、今月7月21日に、坂本司子さんをゲストとした「弘前街ナカゼミ」というものが行われる。「弘前街ナカゼミ」は、青森県庁が行っている「20代を変える『生き方ナビ』事業」の一つで、様々な人生、職種の人から話を聞いて大学生などにこれからの生き方、暮らし方を考えてもらうということを目的としたイベントである。「弘前街ナカゼミ」の詳しい情報は下記のリンク先で知ることができる。この記事を読んで農業、さらには坂本さんに興味を持った人は是非、参加してみてほしい。
弘前街ナカゼミ 坂本司子「仕事っぷりは男らしく、心遣いは女らしく」