弘前の「いわきとそら農園」今年初めて夏秋イチゴの栽培を開始


「いわきとそら農園」(弘前市真土前田)は今年、夏秋イチゴのハウス栽培の初めての夏を迎えた。

いわきとそら農園

代表の大川誠さんは不動産業「(株)大川地建」(弘前市城東)を営む。自身の会社の持つ土地を活かして、不動産業界では珍しい農業に取り組み始めた。大川さんは、「青森県は第一次産業が主産業であるが、現在、農業人口の減少が大きな課題。そこで農業への当社としての参入を決めた」と。

「いわきとそら農園の場所は以前住宅団地が計画されていたが人口減少により計画が頓挫。そこで取得していた土地を農地として活用することを決めた。土地は地下水が豊富であったため、最大限活かした活用を考えた」と話す。

いわきとそら農園

イチゴが多く栽培されるのは冬春である。夏秋は輸入イチゴに頼っており、洋菓子店での国産のイチゴの需要は高かった。そこで高付加価値作物であることや、知り合いが夏秋イチゴ栽培を行っていることに影響を受け、夏秋イチゴの栽培を決めた。イチゴは暑さに弱く、栽培が難しいため、大川さんは経験者からの指導を受け、農園開園に至った。

現在は道の駅、スーパーマーケット、洋菓子店、市場と取引を行っている。「今年はコロナ禍による価格の低迷と暑さによる害虫の発生があったが、収穫量に関しては今までの所は初年度にしては順調に進んでいる」と大川さん。

今後は、市場を介さない形で洋菓子店等に直接発送する方法 を検討している。また、いわきとそら農園で栽培されている品種は「すずあかね」。加工に適した品種であることから、「様々なハードルはあるが加工商品の製造やオンライン販売等についても引き続き検討していきたい」と意欲を見せた。

いわきとそら農園

「農業人口が減少している今、農業のハードルを下げることで、Uターン者や移住者に就業先として農業の仕事の提供が出来たら。また、都市部へ働きに出て、定年退職後に弘前に戻って来て農業を始めたい人もいるかと思う。そのような人に、作業が楽な高設栽培、作物に計画的に栄養を与えられる養液栽培、天候に左右されないハウス栽培を利用することで、農業へのハードルが下げられるのでは」と話した。