青森地酒探訪ー弘前の美味しい日本酒ー 各酒蔵のこだわり&一押し!

2019年7月24日

-青森は水と米がおいしい。空気も。だから、地酒がおいしいんです。―
青森県が発行したパンフレットの表紙にはこんな一文がある。
弘前市には多くの酒蔵があり、それぞれが個性のある酒を造っている。今回は、その魅力を紹介したい。
この記事を書くにあたり、株式会社カネタ玉田酒造店・株式会社松緑酒造・三浦酒造株式会社・六花酒造株式会社の4社にご協力いただいた。

    1.徹底した県産品の追求 玉田酒造店

    まず紹介するのは株式会社カネタ玉田酒造店。その歴史は古く、創業は1685(貞享2)年にまで遡る。
    『津軽じょんから』や『華一風』の名前を聞いたことがあるという人も多いのではないだろうか。

    看板商品の華一風はその名の通り華やかな香りが特徴の日本酒。
    すっきりとした飲み口でまるで水のように飲むことができ、口に含んだ瞬間に広がる香りと後から来る旨みが心地よい。今までにない香り高い食中酒をということで6~7年前に誕生したという華一風。

    現在では、まだ日本酒を飲んだことがない人向けに”日本酒のラベルと言えば墨書き”というステレオタイプを覆したピンクラベルやグリーンラベル等を売り出している。お洒落感覚で手を伸ばしやすく、なおかつ色分けによるシリーズ化とわかりやすさを図っているとのことだ。

    玉田酒造店の酒造りにおけるこだわりは徹底して県産米を使うこと。以前は県外産の米も使っていたそうだが、ここ10年ほどは青森県産の米や酵母のみを使用している。県産米だけとなると種類も限られてしまうのではと思ったが、その点に関しては酵母を変えることによって差別化しているそうだ。
    それだけでなく、伝統を守り、既存の味を変えないよう昔ながらの製法も受け継いでいるという。

    そんな玉田酒造店の玉田宏造社長一押しの商品が『純米吟醸 華一風55 グリーンラベル』。玉田社長が学生だった当時、時代もあり罰ゲーム等で安価な日本酒が使われることもあったそうだ。そのような時代の中で、若い人の日本酒に対するイメージはあまり良くなく、そういったイメージを払拭したいという思いで造ったのがグリーンラベルとのこと。「これだったらいくらでも飲める、飲みたくなるという酒を造りたかった。」と玉田社長は語った。

    (株)カネタ玉田酒造店|蔵元一覧|青森県酒造組合 あおいもりの地酒

    2.広い視野を持った新しい挑戦 松緑酒造

    続いて紹介するのは株式会社松緑酒造。1603年に酒母づくりの会社として創業し、1894年に斎藤酒造として酒造りに参入した。松緑ブランドの強化を図るため、2019年1月に社名を斎藤酒造から松緑酒造に変更している。

    そんな松緑酒造の酒、『松緑』は言わずもがな現在は『六根』シリーズに力を入れている。
    『六根』について
    「三蔵法師が伝えた般若心経は五根、即ち五感について説いています。五根をいかすには、心が動かなければなりません。人は六根ではじめて真実を知り、本物を感じ、理解をすることができると説いています。心をこめて造り、心で感じて飲む酒。この酒を六根と名付けさせていただきました。」
    公式HPより

    この『六根』シリーズはそれぞれの酒に宝石の名前が付けられている。中でも「タイガーアイ」と名付けられた酒は、フランスで開かれるKura Master 2019、アメリカで開催される全米歓評会2019で、ともに金賞を獲得しており、いうなれば世界に認められた日本酒ということだ。

    酒造りにおけるこだわりについて、公式HPには「人・水・米」というキーワードがある。昔から変わらない環境の中で、岩木の名水と選び抜かれた米で酒造りが行われている。使う米は全て銘柄指定で買っているとのこと。どんな酒を造りたいかに合わせてに米を選んでいるのだそうだ。
    また、松緑酒造ではあたらしい銘柄への挑戦やコーシャマークの取得、「蔵人力車」や蔵でのイベントなど様々な展開を行っている。どれも一見の価値があるため、ぜひチェックしてほしい。

    松緑酒造

    3.伝統と技術の融合 三浦酒造

    次に紹介するのは弘大生であればだれもが知るであろう、日本酒『弘前大学』を作っている。三浦酒造株式会社だ。
    三浦酒造は創業が昭和3年と弘前市内の蔵の中ではかなり新しい。

    製品の特徴として先代の杜氏がいたころは味のある酒が多かったそうだが、現在は社長である三浦さんとその弟の二人三脚ですっきりとした飲み口で飲み飽きしない酒を目指しているという。
    三浦酒造と言えば豊盃米を使った『豊盃』が主力商品だ。この豊盃米について聞いたところ、昭和51年に青森県の酒造好適米として誕生した豊盃米だったが、三浦酒造の先々代が商標登録してしまったため、他社が使わなくなりついには三浦酒造だけが使う米になったという。
    現在その豊盃米を弘前大学金木農場でも栽培していて、その金木農場産の豊盃米で作られるのが日本酒『弘前大学』だ。この商品は現在弘前大学構内の生協店舗で取り扱っているので興味があればぜひ弘前大学に足を運んでほしい。
    しかし、この『弘前大学』。4合瓶で税込み2,143円と学生にとってはやや手が出しづらいのがネックである。
    「もっと学生さんに飲んでほしいんですけどね」と三浦社長。

    三浦酒造では酒造りに機械を用いた分析を取り入れている。しかし、機械で管理するというわけではなく、あくまで機械を人間の補助としてとらえ、手作りの良い所をしっかりと残したいとのこと。作り方一つ一つを大切にし、数字を分析しながら感との兼ね合いで求めたものになっているかどうか試行錯誤しながら造っているそうだ。

    三浦酒造

    4.確かな実績とブランド力 六花酒造

    最後に紹介するのは市内最大手の六花酒造。六花酒造は1972(昭和47)年に市内の造り酒屋三社が合併して誕生した。創業は1719(享保4)年にまで遡り、市内でもトップクラスの歴史を持つ。

    全体的に辛口の酒が多かったという六花酒造。津軽地方の食事は過去から現在まで味が濃い・塩辛いものが多く、辛口の酒が合うということで長らく地元の食材に合わせた酒造りを行ってきたという。
    津軽に始まり津軽に尽きる酒造りとして、地元の米、地元の人、地元の水、そこに杜氏のこだわりが加えて伝統を守り続けている。

    『じょっぱり』のラベルを目にしたことがある人は多いのではないだろうか。六花酒造の顔ともいえる商品であると同時に、六花酒造の伝統を表す言葉でもある。津軽の方言で”頑固者”や”意地っ張り”を意味し、辛口にこだわり伝統を守り続ける六花酒造そのものとも言える。その中の1つに『純米大吟醸じょっぱり 華想い』がある。華想いは青森県の酒造好適米であり、酒造組合が力を入れている品種でもある。その名を冠したこの酒はIWC(International Wine Challenge)で過去3回ゴールドメダルに輝くなど、様々な実績があり、まさに”万人に認められた酒”だと言える。

    副社長の川村啓之さん曰く、「日本酒は北に行くほど辛くなる傾向があり、鑑評会で入賞するものは甘い傾向がある」「10年ほど前までは辛い酒しか造っていなかったが、近年はそういったコンペや進出も視野に入れ、甘めの酒も造ってみている」とのこと。
    また、筆者が好きな日本酒の1つでもある『特別純米酒じょっぱり 華吹雪』と同じく華吹雪(酒造好適米)を原料に使い、青函トンネルの地下水をくみ上げて作った『特別純米酒 龍飛』もおすすめだそうだ。水の違いによる味わいの違いなどを楽しんでみてはいかがだろうか。

    六花酒造株式会社|青森の地酒・日本酒・焼酎リキュールの製造・販売

さて、ここまで弘前市内の酒蔵4社を紹介した。
奥深い日本酒の世界、その魅力が少しでも伝われば幸いだ。